こんにちは、K田です。
先日、友達の結婚式に出席してきたのですが、そのときに1ヶ月ぶりにスーツに袖を通しました。
仕事ではスクラブを着ているので、スーツを着るのは冠婚葬祭や学会の時くらいしかありません。
そんな私ですが、何を隠そうスーツが大好きなのです!!
理由は単純にかっこいいからです(笑)
しかし、皆さんの中には「スーツなんて肩が凝って疲れる」「動きづらくてきらい」という方もきっといると思います。
そこで今回は、理学療法士の視点からスーツを着るとなぜ疲れるのか。どうしたら疲れづらくなるのかということをお話していこうと思います。
何故スーツを着るのか?
そもそも、私達は何故スーツを着るのでしょうか?この記事を読まれている多くの方が、今までの人生で一度はスーツを着たことがあると思います。
しかし、着るときに何故着るのかを気にしたことがある人はかなり少数派だと思います。
そこで、まずはスーツの起源から紐解いて行こうと思います。そんなスーツの起源なんて興味が無いよ!という人は、この章は飛ばしてください(笑)。
いわゆる私達が日ごろ目にするスーツは、元々は西洋の男性がフォーマルな場で着用する伝統的な衣服であり、19世紀頃、上流階級の人々が乗馬や狩猟用の服装として「ラウンジスーツ」と呼ばれる服装を着用していました。
さらに起源をたどると、1666年にイギリスのチャールズ2世の時代まで遡ります。この時、イギリスの宮廷内で着る服装が定められ、それが先述のラウンジスーツの起源だと言われています。
これが徐々に簡略化され、流行り廃りがありながら、現代のスーツに近い形になりました。その後、スーツは本邦においてもフォーマルな服装として認識されるようになり、冠婚葬祭やビジネスシーンなど、公の場で着用されるようになりました。
現代においてのスーツは役割は、着る人の社会的地位や経済力を象徴するものとして認識されるようになっています。
スーツを上手に着こなすことは、自身の価値を高め、相手に好印象を与える効果があるとされています。また、スーツは清潔感や誠実さといった好印象を与える要素も持ち合わせています。
近年では、服装規定が緩和される企業も増えていますが、スーツは依然としてビジネスシーンにおいて重要な役割を果たしています。
我々理学療法士は、日常業務の中でスーツを着ることはほとんどありませんが、学会発表や研修会の講師を務める時等、きちんとした印象を与えたい場面ではスーツは必須アイテムといえます。
何故スーツは疲れるのか?
スーツを1日着ると、肩が凝ってしまったり、腰が痛くなったりと体の違和感や疲労感を感じる方が多くいると思います。そればスーツが忌避される大きな一因となっています。
では何故、スーツを着るとこのような症状が引き起こされてしまうのでしょうか?
その理由としては
- サイズが合っていない
- スーツの生地の伸縮性が乏しい
- 姿勢が悪い
ことが挙げられます。
次に、それぞれが何故疲労感につながるかを考えていこうと思います。
サイズが合っていない
スーツの着用による疲労感・違和感の最も大きな原因が、”スーツのサイズが合っていない”ことと言われています。
最近では、各紳士服専門店以外のお店でも気軽にジャケットやスラックスが手に入るようになりました。
その一方で、それだけ気軽に手に入るということは、そこで売られているものは工場で大量に作られた量産品になります。量産品のスーツは、大元となる型を元に作成されるわけですが、我々の体は、誰一人として同じ骨格や体格の人はいません。
すなわち、多くの人にとって”着ることはできる”けど、”着る人の身体に完全にフィットするものではない”といえます。
体にフィットしないということは、どこかが突っ張ったり、ダボついてしまったりするわけですが、そのズレがあると疲労や違和感の原因となってしまいます。
サイズの合わない靴を履き続けると、靴擦れになったり、指が痛くなったりしてしまいますが、スーツも同じようなイメージを持ってもらえるとよいと思います。
私は今まで理学療法士として、数多くの患者さんを診てきましたが、一人として同じ体型や骨格の方はいなかったと記憶しています。
また、人間はどんな人でも左右対称な人はいないとも言われており、そもそも左右対称に作られた洋服が合うはずがないとも言えます。
スーツのサイズ選びは、他の洋服と違い、非常にシビアなのです。
スーツの生地の伸縮性が乏しい
2つ目の理由として、スーツの生地の影響が考えられます。
みなさんが普段着られているTシャツなどの衣服は、どんな人でも着ることができるよう、ある程度の伸張性が確保されています。
生地が伸びるということは、それだけ体にフィットしやすかったり、動きを阻害しづらくなります。
しかし、一般的なスーツの生地を見てみると、伸張性が全く無いわけではありませんが、やはりTシャツ等と比較すると伸張性は低下します。
そうというのも、スーツは一般的な衣服と比較し、厚手のしっかりとした生地で作られることが多いです。素材にもよりますが、一般的には生地が厚くなると、その分伸張性も低下します。
輪ゴムよりも、厚手のゴムのほうが伸びづらいですよね?そのイメージです。
1つ目の理由として、サイズがあっていないとお伝えしましたが、サイズが合っていないことに加え、さらに生地が固く、動きづらくなってしまったらどうなるでしょうか?
スムーズな関節の動きが阻害されるとそれがストレスとなり、各部位の筋肉は固くなります。筋肉が固くなるということは、その部分の血流が悪くなるということです。血流が悪くなると、疲労物質や疼痛物質が筋肉の中に溜まってしまい、脳は筋肉に対し痛みを感じます。
人間、痛みを感じると生存本能から痛みを感じた部位の筋肉の緊張が高くなる=固くなります。なにかにぶつかりそうになったり、びっくりしたりすると、無意識に体を丸め、力が入り防御態勢をとります。これは”防御性収縮”という現象ですが、それが常時肩や首で発生していると考えてみてください。
肩や首が凝り、痛みや違和感が生じてくるのは容易に想像できるのではないでしょうか。
姿勢が悪い
スーツが疲れる3つ目の理由は、着る人の姿勢が悪いことです。
皆さん、スーツを買うときはどのように選びますか?多くの方は、サイズを確認するために試着してから購入されると思いますが、その時はどんな姿勢でしたか?
多くの方は、びしっと胸を張って、いわゆる”いい姿勢”でサイズを図ったのではないでしょうか?
しかし、皆さんいつもそんないい姿勢でいますか?少なくとも私は現在進行系でPCの画面に向かっている時はやや猫背となっています。
1日の生活の中で、ずっといい姿勢でいるなんて方は、ほとんどいないと思います。日ごろからよほど気にかけている方はいるかも知れませんが、何かのときには首が下を向いたり、少し猫背気味に座ったりとすることがあると思います。(現にこの記事を見ている時点で、少なからず姿勢は崩れているはずです。)
スーツは、ハンガーに掛けられている時はマネキンに飾られている時は、基本的にまっすぐな円柱のような形を保っています。その状態であれば、各部に皺がよることもなく、着ていてもよほどサイズが合わない限りは、突っ張ることもありません。
しかし、そこから前にかがんだり、座ったりするとどうでしょうか?
完璧にフィッティングされていない以上、どこかに皺やズレが生じてくると思われます。
元々サイズが合っておらず、伸張性も高くないことに加え、自ら体の姿勢を崩し、フィッティングが合わなくしてしまっているのです。
こうして、着ている本人にはストレスがかかり、結果として疲れたり違和感マシマシの身体が出来上がりというわけです。
まとめると、スーツが疲れるのは
- サイズが合っていない
- 生地が伸びない(=動きづらい)
- 着ている人の姿勢が悪い
といった原因が複合して生じる結果であると言えます。
疲れないスーツはどんなスーツ?
では、どんなスーツが疲れないのでしょうか?
答えは簡単です。上記の反対を行えばいいのです。
- サイズが合って
- 生地もある程度伸張性がある
スーツを着て、姿勢良く過ごせれば良いのです。
「そんなスーツあるの?!」という声も聞こえてきそうですね。では、そんなスーツどこで手に入るのでしょうか?
私が考えるのは
”テーラーメイド”のスーツです。またを”ビスポーク”、”オーダーメイド”なんていいますね。
※ビスポーク:Be spokeが由来。テーラーと”話して”作り上げ行くため。
要するに、自分の身体の体格や骨格とスーツを完全にフィッティングさせるのです。
こちらの写真を御覧ください。
これは、2015年に放映された、KINGSMANという映画の1シーンです。
スーツの紳士がドアの鍵を閉めようと腕を上げていますが、突飛つすべきはこの肩周りです。
サイズが合っていいないスーツなら、皺ができ、ジャケットごと浮いてしまいますが、このスーツはどうでしょう。
肩周りにほとんど皺がなく、腕を上げても全くジャケットがずれる様子もありません。
それもそのはず、KINGMANで使われたスーツは、本場英国でテーラーメイドで作成されたものなのです。
このことからも、いかにテーラーメイドのスーツが身体にフィットし、動きやすいかが想像できるのではないでしょうか。
皆さん、今すぐにテーラーメイドのスーツを作りに行きましょう!!!
・・・といえればいいのですが、実はそう軽々しくも言えないんです。
シンプルに高い
テーラーメイドのスーツは、着心地が非常に良いと言われる一方で、非常に値が張ります。
私が住んでいる市内のテーラーではフルオーダーでおおよそ20〜40万円ほどでした。
1ヶ月分の給料か、下手したらそれ以上の予算を見込む必要があります。
私も以前妻に作成を相談してみたことがあるのですが、流石に却下されました笑
なので皆さん、がまんしてスーツ着てください! とはいいません。
私なりに解決方法を考えましたので、最後にそれをお伝えしていこうと思います。
少しでも疲れづらいスーツを用意するための方法は
- スーツの専門店で、プロに見てもらい、可能な限り自分の身体にフィットしたスーツを購入する
- サイズの修正は洋服のリフォーム屋さんを活用する
の2つです!
1つ目は、これはスーツを購入するすべての人にお願いしたい点です。
先ほどもお伝えしましたが、スーツのサイズ選びは非常にシビアです。ユニクロでTシャツ買うのとはわけが違います。首周り・腕の長さ・胴の長さ・足の長さ・・・等々、列挙すればきりがありません。
そのため、自分ひとりでは選ばずに、プロの方にサイズを見ていただき、かつ用途にあった生地のスーツを用意するのが良いかと思います。
2つ目は、これは私も実践している方法です。
いくらプロの方に見てもらっても、完璧に自分の身体にフィットするものを見つけるのは中々難しいことです。
また、年齢を重ねるとともに体格や姿勢が変化し、昔は着ていたけど今はサイズが合わない・・・なんてケースも出てくるかと思います。
そんな時は、ぜひ洋服のリフォーム屋さんを活用してみてください。
それも、できればカバンや洋服等何でも見ます!というところではなく、洋服専門のリフォーム屋さんで、ちゃんと自分の身体のサイズを図って直してください。
私は祖父から譲り受けたスーツをリフォームし、2〜3万少々で自分の身体に合わせてもらいました。
もちろん、完全にフィットするようになるわけではありませんが、それでもだいぶ着やすくなりました。
20〜40万のスーツに比べれば、安いものではないでしょうか?(それでもそこそこかかりましたが。)
スーツのサイズが合わずに悩んでいる方は、ぜひ一度検討していただきたいです。
まとめ
今回は、スーツが疲れる理由と、どのようなスーツなら疲れないか?ということをお話して来ました。
スーツが疲れる原因は
・サイズが合っていない
・スーツの生地の伸縮性が乏しい
・姿勢が悪い
の3つです。
その対策として
- サイズが合って
- 生地もある程度伸張性があるスーツを着て
- 姿勢良く過ごす
- そのためにも、プロに見てもらってスーツを選ぶ
ことを挙げさせていただきました。
また、資金に余裕のある方はテーラーメイドのスーツの作成や、スーツのリフォームも検討してみると良いと思います。
スーツはピンからキリまで色々ありますが、良いものを買ってしっかりと管理すればそれこそ10〜20年近く着ることができます。
「スーツは何でもいいや」と割り切ることもできるかと思いますが、やはり質の悪いスーツを着ている人はそれなりの対応しかされないこともあります。
良いスーツを着ると、身も心も引きしまり、日ごろの所作に気を使うようになります。そのような人に対しては周りは悪い評価はしませんし、日ごろの態度が良いと、それが成功や自信の元にもつながってきます。
皆さんの手元にあるスーツが、今後人生を歩んでいく上の大事な武器となり、自信となり、相棒となっていくことができればいいななんて思っています。
この記事が、皆さんのよりよりスーツライフの一助となることでできれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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