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こんにちは、K田です。
今回は【理学療法士が解説!高齢透析患者さんの栄養管理について!】というテーマで話を勧めていこうと思います。
私の勤め先では、今まで看護師さんが身体機能評価を実施されていました。
しかし、そのフィードバックがまだされていなかったため、入職からデータを整理し、やっとこさ今患者さんにフィードバックを行っているのです。
そのフィードバック項目の中で”栄養状態”という項目がありました。
これはGNRIを計算しているのですが、フィードバックをしている中で、「そういやGNRIってしっかり説明してって言われたらできるかな?」と思いました。
そこで、今回は、自分の勉強も含め、皆さんにお話していこうと思います。
この記事は以下のような人にオススメです!
- GNRIについて知りたい人
- 腎臓リハビリテーションに従事している人
- 透析患者さんの栄養状態に興味のある人
では早速話を進めていきましょう。
高齢透析患者さんの栄養状態について
まず最初に、高齢透析患者さんの栄養状態についておさらいしていきましょう。
高齢透析患者さんには、合併症、ADLの低下、介護、そして低栄養などの問題を認めることが多いです。
そして、低栄養・食欲低下・低ADLは死亡の危険因子であり、生命予後と密接な関係にあることが報告されています。
透析患者さんの低栄養の特徴は、栄養摂取量の少ない、いわゆる飢餓状態とは異なり、炎症が関与していることが特徴です。
透析患者さんの低栄養では、炎症性サイトカインの影響により異化亢進が生じており、慢性炎症や動脈硬化性疾患が合併しやすく、MIA(Malnutrition-inflammation-atherosclerosis)症候群と呼ばれています。
なお、MIA症候群とはMalnutrition:栄養障害、Inflammation:炎症、Atherosclerosis:粥状動脈硬化の頭文字を取って命名された症候群であり、これらが合併すると、透析患者さんの死亡率上昇に直結する、重要な合併症です。
そして、透析患者さんの低栄養は、筋肉や脂肪等のタンパク質やエネルギー貯蔵が減少している状態であると言えます。
そのような低栄養は最近ではPEW(protein-energy wasting)と定義されます。PEWの診断にはいくつかの基準があるのですが、ここでは割愛します。
このPEWに関係する因子にはさまざまなものがあり、エネルギーやタンパク質摂取量の減少に加え、先述のような炎症性サイトカイン、CKD、尿毒症物質、合併等々が言われています。
先述した炎症性サイトカインは、食欲の低下に関連すると言われており、慢性的な炎症は、アルブミン産生の低下・PEWや低アルブミン血症を生じさせます。
また、透析治療自体がアミノ酸を喪失させる効果があり、1回の透析で20gのタンパク質を失うことがわかっています。
すなわち、透析患者さんは慢性炎症+透析治療のダブルパンチでアルブミンのような体内にあるタンパク質が低値となりやすいといえます。
GNRIとは?
上記に出てきたPEWですが、その予防と治療の基本方針は、定期的に低栄養のスクリーニングを行い、もしPEWがあれば栄養的介入を行うことが示されています。
そのスクリーニング検査として、血清アルブミン値やnPCR、SGA、MIS、そしてGNRIが挙げられます。
予後予測としては、単独指標(アルブミン値やnPCR)よりも複合指標(SGA・MIS・GNRI)の方が良いと言われています。
この中で、GNRIは正式名称をGeriatric Nutritional Risk Indexといいます。
GNRIは、2005年にBouillanneらによって発表された栄養リスク指標です。
BuzbyらによるNutritional Risk Index (NRI)を高齢者向けに改良したもので、血清アルブミン値、現体重、理想体重のみで算出することができます。
計算式は
GNRI = 14.89×血清アルブミン値(g/dl)+41.7×(現在体重/理想体重)
となります。
GNRIのカットオフ値は
GNRI≧91 栄養障害リスクあり
GNRI≦92 栄養障害リスクなし
と報告されています。
また、先行研究ではGNRIは
- 加齢、女性で優位な低値を示す
- 血清アルブミンと正の相関を示す
- CRP、IL-6と負の相関を示す
- 栄養、炎症、動脈硬化、酸化ストレスと密接な関連があることが示唆される
と報告されており、これ1つで栄養・炎症の状態を把握することができることがわかります。
高齢透析患者さんの栄養状態改善にむけてのアプローチ
さて、ここまでで、透析患者さんの低栄養がいかに身体機能向上を阻害するかイメージできたのではないでしょうか?
イメージとしては
・アルブミン低値➠タンパク質が少ない➠筋肉の素がない➠運動しても筋肉がつきづらい
・慢性炎症➠炎症でアルブミンは低値となる➠以下同文
という感じです。
そのため、先述の通り、しっかり運動の効果を出すためには、栄養的介入が必要となってきます。
日本腎臓学会や日本透析異学会によると、エネルギー摂取量に関しては、
・30〜35kcal/kg/日を基準とする
・透析患者でのタンパク質摂取の基準は0.9〜1.2g/kg/日
となっており、これらの用法を守ることで、筋肉量が減少しにくい傾向が認められたとのことです。
しかし、上記の量を摂取するのが大変だと言う方もきっといると思います。
そのような方には、筋蛋白合成に重要なアミノ酸として、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の接種も1つの方法として注目されています。
BCAAの中でも特にロイシンが筋蛋白合成に有用と考えられており、高齢者では1.5〜2gのロイシンを摂取すると、筋蛋白合成が刺激されると言われています。
まとめ
今回は、高齢透析患者さんの栄養状態について話を進めてきました。
まとめると
- 透析患者さんは、慢性炎症や体内のタンパク質の減少により低栄養に陥りやすい
- GNRIの栄養障害の有無を示すカットオフ値は92
- 0.9〜1.2g/kg/日のタンパク質摂取を推奨
- タンパク質摂取が大変ならBCAA(特にロイシン)の接種も有用
となります。
元気そうな方でも、GNRIを計算してみるとカットオフ値を下回るなんてことは良くあります。
そのため、どんな方においても栄養状態のスクリーニングをしっかり行い、適切な栄養指導ができるよう、心がけていく必要がありますね。
今回の話は以上となります。
この記事が、透析患者さんの栄養について悩んでいる人の解決の一助となれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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