知ってる?診療報酬制度について〜理学療法士が解説〜

医療

皆さんこんにちは、K田です。

本日はいつになく真面目なテーマとなっております。(いつも真面目に執筆していますが!)

本日は【診療報酬について】お話していこうと思います。

2024年6月1日より、医療機関に支払われる診療報酬が改定され、医療従事者の賃上げにあてるため、受診する際に支払う初診料や再診料などが引き上げられます。

皆さんも一度はニュースで聞いたことがあるとは思いますが、ここで皆さんに質問です。

”診療報酬制度”ってどんな制度か知っていますか??

知らないよ!って方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、どのような時にかかるか例も交えつつ、診療報酬について解説していこうと思います。

本記事は以下のようなかたを対象にしています。

  • 診療報酬制度について知りたい方
  • 医療従事者だけど診療報酬について実はあまり知らない方
  • これから医療従事者を目指す方

診療報酬制度とは?

よくテレビCMで、生命保険やがん保険のCMが流れていると思いますが、それらはいわゆる民間保険というものです。

必要に応じて、個人が任意で介入するため、介入している人もいればいない人もいますね。

しかし、実は皆さんはすでにある保険に加入されているのです。

それが国民皆保険制度です。

これは、日本が世界に誇る最強の保険制度と言えます。

アメリカなど、無保険の国民がいる国も多い中で、日本では全ての国民が公的医療保険に介入しています。

この制度があるおかげで、怪我や病気で病院にかかっても、全体の原則3割負担(年齢や所得に応じて異なる場合もある)で収まるのです。

つまり、病院で3000円支払ったなら、本当は10000円かかっているのを7000円分公的医療保険で負担してくれているのです。

しかも、それに加えて高額医療費制度や母子健康手帳など様々な仕組みがあります。

海外では国民皆保険が無いため、病院でにかかる費用は全て自腹です。手術でもしようものなら、数百万円単位で費用がかかり、しかもお金を出せばその分腕の良い医師に執刀してもらえるなんてこともあるのです。。。

前置きが長くなりましたが、病院で皆さんが公的医療保険制度を利用し、医療行為を受け、その対価として医療機関に支払われる費用が診療報酬です。

日本医師会HPより引用

診療報酬の使い道

皆さんが病院の窓口で支払ったお金は、上の表のように巡り巡って医療機関に支払われます。

具体的には、皆さんが窓口で支払った3割負担の金額に加え、保険者を経て審査支払機関から残りの7割が支払われます。

それが病院の収益となるわけですが、ここではその使い道を解説します。

さて皆さん、医療機関にはどれくらいのスタッフがいるのかご存知ですか?

ここで思いつく限り上げてみましょう。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護助手
  • 放射線技師
  • 臨床工学技士
  • 栄養士(管理栄養士)
  • 薬剤師
  • 臨床心理士
  • メディカルソーシャルワーカー
  • ケアマネジャー
  • 調理師
  • 保健師
  • 医事課や総務課の事務職の皆さん
  • 施設管理の皆さん
  • 清掃スタッフ
  • コンシェルジュ
  • 警備   etc

今思いつく限り上げてみましたが、これだけのスタッフがいて、初めて病院の機能は成り立つのです。

病院の規模により職種の種類や人数は変化しますが、医師と看護師だけいればいいなんてわけではないのです。

これだけのスタッフを賄うための人件費がまず必要になります。

加え、薬剤費や施設保全、新たな医療機器の導入・維持費用等々、非常に多種多様の費用が必要となります。

これらを賄い、良質で適正な医療を提供するために、診療報酬が必要なのです。

診療報酬の”点数”について

皆さん、窓口で支払いを済ませた後、必ず明細書をもらうと思います。

ちなみにこの明細書は”レセプト”なんていい方もします。

その明細書の中に”初診料:〇〇点”、”△△加算:〇〇点”なんて書かれています。

この”点”というのはなんでしょうか?先生が治療をした出来栄えでしょうか?

そんな訳はありません。

診療報酬は、各医療行為ごとに、点数が細かく決められています。

皆さんが受けた医療行為に対する価格は、行為ごとに決められた点数をもとに

1点=10円として計算されます。

上記の金額は、全国のどこで公的保険を使用しても変わることはありません。

この点数の決め方について、もう少し詳しく説明していきましょう。

1. 診療報酬点数表

診療報酬制度の根幹となるのが、「診療報酬点数表」です。この点数表には、医科、歯科、調剤のそれぞれの診療行為ごとに、点数が定められています。

点数の算定方法

点数は、以下の要素を総合的に考慮して算定されます。

  • 医療行為の内容や難易度
  • 医療行為に必要な時間
  • 医療行為に必要な材料や設備
  • 医療行為のリスク

手間のかかったりする処置や、手術等では当然点数も高く設定されています。

例えば、病院の初診料が288点=2800円なのに対して、頭蓋内血腫除去術(漫画:JINで一番最初に主人公が行った手術)は47020点=470200円になります。

これに加え、その他薬剤等諸々の処置も入るため、手術での入院では費用がかかるというはイメージがつくと思います。

点数の種類

また、点数は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

  • 基本点数:診療行為の基本的な内容や難易度を評価した点数
  • 加算点数:基本点数に加えて、特定の条件を満たした際に算定される点数

詳しく覚える必要はありませんが、例えば入院してから早い時期からリハビリを開始すればその分の加算がつきますし、透析中に運動を行うことでも加算がつくようになりました。

ここで誤解をしないでほしいのが、病院側も何でもかんでも加算を取ってやる!!というわけではなく(ないと信じたい)、あくまで対象の患者さんの治療や療養に効果があると思ったから実施し、結果として算定を行っているということです。(もちろん報酬は大いに越したことはないので、取れる範囲ではしっかりと取らせてはいただいてはいます。)

診療報酬の計算式

診療報酬 = 基本点数 + 加算点数 × 点数単価

点数の算定方法と種類についてお伝えしましたが、それらを上記のような計算式に当てはめて、最終的にみなさんに請求がいくこととなります。

具体的な支払い例

では、今までの話を元に、もし皆さんがリハビリを行った場合にかかる料金を非常に簡素化して例を上げていきましょう。

例えば、あなたがアキレス腱を断裂し、手術を行ったとします。

アキレス腱の手術後は、段階的にリハビリが始まりますが、アキレス腱断裂後のリハビリは「運動器リハビリテーション」となります。

運動器リハビリテーションは区分Ⅰ〜Ⅲにわかれているのですが、ここではⅠとします。

リハビリの実施時間は1単位20分を何単位行うかで決まります。

では、あなたは2単位=40分リハビリを行うとします。

運動器リハビリテーション区分Ⅰでは、1単位:185点=1850円の算定となります。

それが2単位:370点=3700円となります。

そこから3割負担のため、窓口では1110円の負担となります。

3700円が1100円なんて、だいぶ変わりますね。

このように、私達が病気や怪我をしても気軽に病院にかかれるのは、国民皆保険による診療報酬制度があるからなのです。

まとめ

今回は、診療報酬についてお話をすすめてきました。

今回話した診療報酬の内容は、まだプロローグです。スター・ウォーズで行ったら、最初の文字が流れてくるところくらいなもんです。

しかし、これから病院にかかる上で、必ず知っておくべき知識です。

また、医療従事者の方においても、自らの給料の財源についての知識は持つべきです。

診療報酬のことを知らないということは、サイゼリヤで働いていても、ミラノ風ドリアの値段を知らないのと同じようなものです。(例えが下手!!!)

自分が今行っている治療はどのくらいの値段が付けられているのか、日ごろから気にすると今までの違う視点が見えてくるかもしれません。

ナニワトモアレ、しっかりと診療報酬についての知識を付け、世の中の動向にアンテナを立てていきましょう。

今回の記事で、皆さんの診療報酬に対する知識がほんの少しでもついてくれたなら幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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