NRI-JHとは?各評価との関連も解説!!

医療

こんにちは、K田です!

先日サルコペニアについての記事も執筆しましたが、その中で栄養不良がサルコペニアを加速させる危険因子として紹介したと思います。

リハビリと栄養は切っても切れない関係であり、運動療法を実施する上で栄養管理は非常に重要です。

先日、病院の栄養士さんとお話して、何と院内300人の患者さん全員の栄養状態を1人で確認しているとお話されており、非常に感銘を覚えました。

そこで今回は、先日栄養士さんから教えて頂いた、NRI-JHについて解説していこうと思います。

NRI-JHとは?

NRIHJH(Nutritional Risk Index for Japanese Hemodialysis patients)

日本透析医学会 学術委員会 栄養問題検討ワーキンググループ(長い・・・)が開発した、

透析患者の1年後の生命予後に関する栄養学的リスクを評価するツール

です。

計算方法は以下の通りであり、BMI・血清アルブミン値・血清クレアチニン値・血清総コレステロール値の項目から低リスク・中リスク・高リスクの3群に分類されます。

開発された経緯は、既存の各栄養指標(SGA・MIS・GNRI等)の作成時に元になった研究の対象は、透析患者で無い場合や外側の患者であることが多く、必ずしも日本国内の透析患者を代表しているとは限りませんでした。

そのため、日本人のデータに基づいた診断基準を新たに設定すり必要がある!ということで、NRI-JHが開発されました。

引用:透析患者の低栄養 日腎会誌 2019;61(5):590‐595

透析患者さんの栄養状態については、一般人と異なり炎症が関与していることや、BMIや総コレステロール値が低いほど心血管疾患発症リスクや死亡リスクが高いことが報告されており、PEW(Protein-Enegy Waisting)が生じやすい傾向にあるため、定期的なスクリーニングが必要です。

その際に、NRI−JHは有用な評価指標になり得ます。

NRI-JHの活用

NRI−JHとサルコペニアの関連

大阪公立大学の研究チームは、2022年に

血液透析患者においてNRIH‐JHとサルコペニアに関連がある

ことを報告しました。

Nutritional Status Association With Sarcopenia in Patients Undergoing Maintenance Hemodialysis Assessed by Nutritional Risk Index
BackgroundMalnutrition and sarcopenia are frequently observed in patients undergoing maintenance hemodialysis (MHD). To elucidate whether malnutrition is associ...

研究では、315人の血液透析患者を対象に、NRI-JHとサルコペニアとの関連が調査されました。

なお、この研究においてもサルコペニアの評価には、「アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)2019」の診断基準を用いられます。

その結果をまとめると以下の通りになります。

  • 中/高リスク群(低栄養患者)では、骨格筋量の低下、筋力の低下、身体機能の低下の有病率が有意に高値
  • 中/高リスク群(低栄養患者)では、サルコペニア、重症サルコペニアの有病率も有意に高値
  • 中/高リスク群(低栄養患者)は、低リスク群に比べ、サルコペニアのリスクが2.96倍、重症サルコペニアのリスクが2.24倍高い

この研究からは、栄養状態とサルコペニアの関連を明確に明らかになりました。

NRI-JHとGNRI・運動機能・骨格筋量指数との関連

こちらの研究では

NRI-JHとGNRI・運動機能は関連性を認めなかった

と報告しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/37/6/37_565/_pdf/-char/ja

こちらの研究では、外来維持透析患者60名に対し、NRI-JHとGNRI・運動機能(握力・5回立ち上がりテスト)・骨格筋量指数(SMI)との関連が調査されました。

本研究の結果をまとめると以下の通りになります。

  • NRI-JHと握力・5回立ち上がりテスト・骨格筋量指数・GNRIに優位な関連性は認められなかった
  • GNRIは握力と骨格筋量指数と優位な正の相関を認めた

栄養状態と身体機能た骨格筋量指数と関連が確認されなかったのは、少し意外に感じました。

本研究の著者はNRI-JHとGNRIの相関関係が認めなかった点について

  1. NRI-JHとGNRIは開発背景が異なる
  2. NRI-JHとGNRIでは観察項目に重複する点があるが、それらの比重が異なる
  3. NRI-JHは1年後の生命予後指標として開発されており、必ずしも栄養状態を反映しているとは言い切ることができない

と考察されてます。

また、身体機能および骨格筋量指数と関連性を認めなかった点については

  1. NRI-JHにおける栄養学的低リスク患者が多く、GNRIでも栄養状態不良患者が少なく、運動機能も良好であった

と考察されています。

まとめ

今回は、透析患者さんの1年後の生命予後指標として開発されたNRI-JHについて解説を進めてきました。

まだまだ他の評価バッテリーとの関連性は明らかになっていませんが、サルコペニアとの関連性が確認されているのは、興味深いポイントです。

透析患者さんの生命予後は活動量と関連していることが報告されており、今後もまだまだ関連性を確認していく必要がありそうです。。

私の中では、栄養やサルコペニア・フレイルがブームとなりつつあります。

いずれも透析患者さんを診ていく上では必要不可欠な知識であるため、今後もしっかりと知識を身に着けていきたいと思っています。(次はPEWのことを調べようかな・・・。)

本記事が、皆さんの【NRI-JH】に関する知識の向上に、少しでも寄与できたなら幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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