皆さんこんにちは、K田です!
【プラズマリフィリング】という言葉を聞いたことはありますか?

「プラズマリフィリング」?なんか、ポケモンの技みたいな名前っスね!

でんきタイプとかでありそうだけどね(笑)でも、ちょっと違う。
「プラズマリフィリング」とは、血管外(細胞外液)から血管内に水分が移動する現象のことだよ。
プラズマリフィリングは、透析中に生じる現象であり、普段臨床をしている中では中々耳にすることの無い単語だと思います。
しかし、透析患者さんのリハビリテーションを行う際、プラズマリフィリングの知識は切っても切ることができない重要なものとなります。
特に透析中の血圧低下を語る上では、理解するのがMUSTと言い切ることができます。
そこで今回は、【リハビリテーション職はプラズマリフィリング(PR:plasma refiling)をどう読み取るか?】というテーマで、プラズマリフィリングのメカニズムやリハビリを行う際に与える影響について、お話していこうと思います。

この記事はこんな人にオススメです!
- プラズマリフィリングについてについて知りたい方
- 腎臓リハビリテーションに携わる方

透析クリニックで勤務していて、腎臓リハビリテーション指導士も取得している私が
理学療法士の目線で解説していきます!
プラズマリフィリング=血管外から内への水分の移動
プラズマリフィリング(PR:plasma refiling)とは、血管外(細胞外液)から血管内に水分が移動する現象のことをいいます。
透析中は、ダイアライザーを通して血液から除水されます。
除水されると、体内の水分が減るということなので、循環血液量が低下します。
循環血液量が低下すると当然血圧も低下するのですが、除水されたままだと血圧はどんどん低下してしまいます。
そこで、血管外より血管内へ水分を補充し、循環血液量を維持しようとします。
この働きこそがプラズマリフィリングです。
ちなみに、
プラズマ=血漿
リフィリング=再充填 という意味なので
プラズマリフィリング=血漿再充填 と表すことができます。

上の図は、プラズマリフィリングのメカニズムを図式したものになります。
これだと分かりづらいので、もう少し簡単に纏めます。
- 血液内の水分低下
- 血液が濃くなる
- 水分は濃度が薄い方から濃い方へ移動するため、血管外(薄い)から血管内(濃い)へ移動
また、血管外は細胞外と細胞内に分かれますが、ここでも水分の移動が生じます。
栄養状態が良ければプラズマリフィリングは促進される
ここで1つ抑えておきたいのが”アルブミン”です。
アルブミンは、栄養の指標として用いられれますが、プラズマリフィリングにも影響を及ぼします。
アルブミンは、水分とくっつきやすい性質を持ちます。
そのアルブミンが血液内にたくさんあると、血管内に水分をしっかり引っ張ってこれます。
除水されて血管内の水分量が減少しても、スムーズに血管外から水分を引っ張ってこれる=プラズマリフィリングが促進される
ということができます。
透析患者さんは低栄養の方も多いため、注目するポイントの1つになります。
リハ職はプラズマリフィリングをどう読み取るか?

プラズマリフィリングについては理解できました!
でも、それがリハビリにどう影響するんスか?

いい質問だね!
じゃあ、プラズマリフィリングがリハビリを行うときにどんな影響を与えるか見ていこう!
血圧への影響
透析後半に血圧が低下してきてしまう人がいますが、これはプラズマリフィリングが間に合っていないことが原因です。
血管内から水分が減少しても、それを補うほどの水分の移動が行えていないと、血管内の水分は減少したままとなり、血圧が低下してしまいます。
その原因はいくつか考えられますが、
- 除水速度が早い
- 除水量が多い
- 低栄養
- 糖尿病や動脈硬化
があると、プラズマリフィリングレート:PRR(プラズマリフィリングの速度)が除水速度に追いつかなくなってしまいます。
プラズマリフィリングレートは透析機で確認できるので、それと除水速度を比較し、釣り合っていなければ、血圧低下が生じる可能性があると考えることができます。
透析後の低血圧は、患者さんのパフォーマンスやADLに直結する重要な因子です。
それを前もって理解しておけば、よりリスク管理を行いつつ、効果的なリハビリを行うことができるでしょう。
痙攣への影響
プラズマリフィリングが除水に追いつかないと、下肢痙攣を引き起こす可能性もあります。
その原因は
- 血圧低下
- 電解質バランスの崩れ
- 血行不良
が考えられます。
プラズマリフィリングが追いつかないと血圧低下しやすくなるとお伝えしましたが、血圧が低下=循環血液量の低下している状態となります。
循環血液量が低下しているということは、筋肉への血流量も低下するということであり、必要な栄養素や酸素が供給されなくなってしまいます。
すると、筋痙攣が生じてしまう可能性が生じます。
また、透析における除水は、筋肉の細胞内外にある電解質(ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム、クロールなど)も取り除いてしまいます。
これによる電解質のバランスが不均衡状態になると、神経伝達や筋収縮がしづらくなってしまうため、筋痙攣が生じてしまう可能性あります。
気分不快への影響
気分不快は、血圧低下に付随する症状です。
プラズマリフィリングが間に合っていない=血圧が低下しやすい=気分不快が生じる可能性もあることを考えておく必要があります。
また、プラズマリフィリングを阻害する因子に、糖尿病や動脈硬化も挙げられています。
糖尿病は自律神経障害による起立性低血圧を引き起こす可能性があり、動脈硬化により血管壁が硬くなると、血液量が減少した際に血管が適切に収縮できなくなります。
これらの影響により血圧が低下し、結果的に気分不快を引き起こす可能性があります。
これは低血圧同様、患者さんのパフォーマンスやADLに大きな影響を与えます。
プラズマリフィリングが間に合っていないと考えられた際には、気分不快が生じることも念頭に置いて、透析後の動きを確認すると良いでしょう。
まとめ

今回はプラズマリフィリングについてお話してきました!
最後に、今回の話をまとめていきましょう!
- プラズマリフィリングは、血管外(細胞外液)から血管内に水分が移動する現象
- アルブミンが血管内に十分にあることでプラズマリフィリングは促進される
- プラズマリフィリングが間に合わないと透析後半に血圧が低下する
- プラズマリフィリングが間に合わなさそうな場合、透析後の血圧低下・筋痙攣・気分不快が生じる可能性があるため、パフォーマンス・ADLに影響を与えないか注意する

プラズマリフィリングがスムーズに行っているかで、パフォーマンスやADLにも影響があるかもしれないんスね!
透析患者さんを担当する際には、是非プラズマリフィリングにも着目してみてください!
そうすると、より患者さんの体調管理が行いやすくなり、効果的なリハビリテーションを行うことができるようになるでしょう!
もっと理解を深めるために
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この記事が、みなさんのドライウエイトや透析、腎臓リハビリテーションの理解の向上につながれば嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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