こんにちは、K田です。
最近、本当に暑いですね!梅雨はどこ行った!?なんて叫びたくなってしまいます笑
これだけ気温が高いと心配になるのが熱中症です。
この記事を書いている7月6日時点では、東京では134人が熱中症で搬送されており、重症の方も数名いらっしゃるようです。
私が以前総合病院に勤務していたころも、熱中症で搬送され、ICUに入室された患者さんを何人か診てきました。
熱中症は一歩間違えると命に関わる疾患です。
しかも、何らかの持病を抱えている人にとっては、健康な方と比較してより熱中症のリスク管理が重要になります。
そこで今回は、透析クリニックで日々透析患者さんの診療にあたっているK田が
透析患者さんの熱中症対策についてお話をしていこうと思います。
この記事は、こんな人にオススメです!
- 透析患者さんの治療に従事している人
- 透析患者さんご自身
- 透析患者さんのご家族
- 周囲に透析患者さんがいる人
熱中症について
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のことです。
熱中症の重症度は、3つに区分されます。
Ⅰ度(軽症):現場での応急処置で対応できる
Ⅱ度(中等症):病院への搬送を必要とする
Ⅲ度(重症):入院して集中治療の必要性がある
原因
熱中症に原因で、1番最初に頭に浮かぶのは、気温上昇等の気象条件が思いつくと思います。
しかし、それ以外にも身体的・環境的な要因があり、以下のようなものが挙げられます。
年齢:65歳以上または15歳未満
持病:心疾患、肺疾患、精神疾患、高血圧、糖尿病、認知症など
体型:肥満
日中の行動:激しい運動、不慣れな運動、長時間の野外作業、水分摂取の機会の減少
体調:体調不良の状態での活動
環境:エアコン等を使用していない
熱中症による症状
熱中症による症状は、先程お話して重症度別に、出てくる症状が変化します。
軽症なうちはめまいやだるさくらいで済みますが、重症になると意識レベルの低下や痙攣が生じる場合もあり、軽症のうちからの対応が必要です。
I度 (軽症)
- めまい
- 立ちくらみ
- 筋肉のこむら返り
- 手足のしびれ
- 気分不快
II度(中等症)
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 体のだるさ
- 力が入らない
III度(重症)
- 高体温
- 意識がない
- 全身のけいれん
- 呼びかけに反応しない
- 真っ直ぐに歩けない、走れない
これらの重症度別に出現する症状は、複数のものが重なって出現することがあります。
Ⅱ度以上の症状が出現した場合には、速やかな病院への受診が必要となります。
また、Ⅰ度の症状のみ出現していても、改善が認められない場合には、同様に病院への受診が必要です。
特に、子供や高齢者は、自身の症状についての表出が乏しい場合があります。
そのため、より状態の変化に注意をする必要があります。
熱中症予防について
暑さを避ける
熱中症予防のためには、そもそも暑い環境を避けるといったことが重要です。
直射日光に当たるだけでも、体力は驚くべき速さで消耗されてしまいます。
そのため、屋外では日傘や帽子を使用したり、日陰に入ってこまめに休憩を取ったりするようにしましょう。
特に子供は地面との距離が近いため、反射熱による影響を受けやすいです。
そのため、必要に応じて抱きかかえるなど、対応を取るように注意してください。
また、熱中症の危険が極めて高いと予測された地域に環境省と気象庁が注意を呼びかける“熱中症警戒アラート”が運用されているため、そういった情報を踏まえて気温の高い日にはできるだけ日中の外出を控えることも重要です。
しかしながら、屋内で過ごしている場合にも、熱中症に注意が必要です。
時折ニュースで、エアコンを付けずにいた高齢者が熱中症で救急搬送されたなんて耳にしますが、室内にいても、適切な温度管理ができないと、熱中症のリスクは高くなります。
扇風機やエアコンで温度を調節するなどして、屋内でも熱中症予防を心がけましょう。
服装を工夫
熱中症対策の1つとして、服装選びも重要なポイントです。
まず素材としては、汗を吸ってくれる「吸水性」と、吸った汗を素早く乾かしてくれる「速乾性」が優れた素材がおすすめです。
具体的には、綿・麻・ポリエステルが挙げられます。
化学繊維であるポリエステルが吸水性、速乾性に関しては効果が高いです。
しかし、敏感肌やアトピー等で化学繊維が苦手なかたは、綿や麻の素材がオススメです。
また、熱を吸収しにくい白色や淡色の服を着たり、肌着を着て汗の蒸発を助けるようにすることも、服装対策の1つとして挙げられます。
こまめな水分補給
大量に汗をかくことで、体内の水分や塩分が外に出てしまい、熱中症を発症しやすくなります。
そのため、
水分+塩分の補給が重要になります。
水分補給は、喉が乾く前からこまめに行いましょう。
喉が乾いたと感じるころには、既にかなりの水分が体内から失われているサインです。
しかし、1度に行える小腸からの体内への水分吸収には限界があります。
そのため、喉の乾きを感じる前に、こまめに水分補給をしましょう。
塩分補給も、水分補給同様に重要です。
スポーツドリンクや経口補水液、食塩水などの飲料で水分と塩分を同時に補給できます。
塩飴や塩タブレット、梅干し、味噌汁、塩昆布などの食べ物で塩分を摂取する方法もあります。
ここで注意したいので、水分だけ・塩分だけの摂取です。
いずでも過剰に取ることで、体内の浸透圧のバランスが崩れてしまうため、どちらもバランスよく摂取するようにしましょう。
透析患者さんの熱中症対策について
ここまでは、熱中症の症状や予防についてお話してきました。
しかし、透析患者さんに関しては、健常な方と比較して特に注意するべき点があります。
それは、”水分補給”です。
過剰に水分や塩分を摂取してしまうと、ドライウェイトから大きく増えてしまい、除水が大変になってしまうなんてことにもなりかねません。
しかし、だからといって水分摂取を控えても、熱中症のリスクが増加してしまいます。
そこで、透析患者さんが水分補給で気をつけるべき点をお話していきます。
汗をかいていない・少ない時
いつもより水分や水分を多く摂る必要はありません。
汗をかいていない=体内の水分は大きく減っていないため、過剰に水分を摂取すると、体液が過剰となり、身体への負担が増加してしまいます。
汗をかいていない=体内の水分は大きく減っていないため、いつもより水分や水分を多く摂る必要はありません。
水分摂取にはナトリウムやカリウムの含まれない(少ない)水や麦茶などが向いています
汗をたくさんかいた時
汗によって体重が減少した分を補給するイメージで少しずつこまめに水分を摂りましょう。
スポーツドリンクは水分と塩分を同時に摂取できますが、同時に飲み過ぎに注意が必要です。
先述した麦茶は、リンやカリウムの含有量が少なく、ミネラルも入っているため、汗をかいたときでも水分摂取にオススメです。
ここで注意したいのが、冷たい飲み物をゴクゴク飲みたくなってしまいますが、一気に飲むと、過剰に水分を摂取してしまうリスクがあります。
そのため、水分補給をする際には、少しづつ口に含んで飲むようにしましょう。
体重測定で管理
体重を測ると、どれくらい水分を補給すればいいか、摂った水分の量が適切だったかを判断する目安になります。
透析と透析の間の体重増加が多くなりすぎないように
ドライウェイトの3~5%(中1日で〜3%、中2日で〜5%)
またいつもより極端に少なくならないように 水分摂取量を調節しましょう。
体重管理を行っている透析患者さんは多いと思いますが、発汗の量や水分の摂取量がいつもより多いと感じたら、より気を付けて管理をおこなうようにしましょう。
その他の対策
その他の対策としては、先述したように
- 暑い場所に行かない
- 衣服に気をつける
- 日中の外出はさける
といった内容が挙げられます。
透析患者さんは、自律神経の調整が苦手だったり、体温調節が行いにくいという特徴があります。
そのため、より熱中症には注意する必要があります。
まとめ
今回は、透析患者さんの熱中症対策についてお話をしてきました。
今回の話をまとめると
- 透析患者さんでも、汗をかいたら水分補給は必要
- スポーツドリンクは飲み過ぎに注意し、日々の体重管理もより注意して行う
- 暑い場所に行かない
- 服装は吸水性・発汗性の良い素材のものを使用
- 気温の挙がる日中の外出は避ける
となります。
また、透析患者さんにおいては、
体水分量減少→低血圧・シャント閉塞
体水分量過剰→心不全
といったリスクもあるため、より水分量の管理に注意が必要です。
そのためには、家族や医療スタッフ等、周囲の人が協力してサポートをしていくことも必要です。
この記事がみなさまの知見や日々の悩みの解決につながれば幸いです。
最後まで本記事をご覧いただき、ありがとうございました。
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